代議制民主主義と利益集団
近代議会政治においては一般に政党が公約という形で民衆の利益を集約し、それを選挙において民衆が選択することで有権者にとっての利益が実現される。
このように、一般に政党は「国民の」「利益集約」機能を担うものである。
その意味で政党は国民にとっての利益を実現するための集団と言える。一方で、現代の政治形態には「利益集団」という存在が非常に大きな意味を持っている。
利益集団とは、共通の利益、目標をもつメンバーから構成され、その達成を目指す団体、集団である。政党と政治家はそれ自体として、「選挙に当選し多数派を占めること」を直接の目的としている(特定の理念の達成ではない、それは国民によって選択される問題であり、政党それ自体の目的は当選することである)のに対して、純粋に「自己利益の達成」を目的としている点で政党とは異なる存在である。
利益集団は産業革命期とそれに伴う工業化、都市化、社会の希薄化が顕在化した時に生まれた職業集団を起源としており、その後の民主化に伴って、議会、政党では担保できない国家、地域利益の実現を代替する存在として定着化したものである。
利益集団は主に
①セクター団体:職業、業種ごとに集まった集団(例:経団連、学会、農業団体、等
②政策受益団体:補助金、制度など政策に利益を左右されやすい集団から成る(例:福祉団体、農業団体
③価値推進団体:特定価値の普遍化を目指す。(例:環境団体、等
からなり、③は環境、人権、福祉、などを扱うNGOやNPOなどの公共利益集団をも含む。
利益集団の機能は
①利益集約表出機能:希望を集約し、政策として政府に表出する。
このことをロビイングといい、大企業の経営者の集団である日本経団連は、円高対策、TPP推進、法う人税減税等の企業利益をロビイングしている。
②情報提供機能:政治家の持たない特殊な経験知識、情報を提供し、自らの利益に反した政策が実現されないようにする。日本自動車工業会等が代表的。
③議会、政府のチェック機能:マニフェストが利益に反していないかをチェックし採点する。21世紀臨調(第二次臨時行政調査会:経団連や連合などが参加)がマニフェストをチェックしている。
ここで問題と成るのは、「ロビイング」である。
ロビイングとは、議会、政府、世論に特定の利益集団が働きかけることであり、アメリカでは30万人もの議員、公務員、記者などとの人脈がある人物、ロビイストが活動している。ロビイストは、実際に政策立案に関与したり、自己利益に有益な情報を提供するほか、議員に資金(PAC)を献金という形で提供する。さらに、レイティングという議員の評価を行い、選挙自体に印象として関与する。
日本の場合は日本の法律の八割以上を担う省庁との接触を図り、マスコミに情報提供、する他広告やデモ、記者会見などを効果的に利用し、自己利益の達成を目指している。
日本に於いて影響力の強い利益集団は順に「経団連、連合(日本労働組合総連合会)、日本商工会議所、全国知事会、全国銀行協会連合会、となっており、経済的利益を追求する企業団体が非常に強い影響力を持っていることが伺える。
さらに、オランダやドイツ、日本などで行われている「ネオ・コーポラティズム」という政治形態があり、利益集団が政策決定に直接関与することが可能である。経済団体の代表を会長とする第二臨調1981年以来国家政略会議等に直接的に介入し政策立案そのものに関わっている。
一般に現代の日本で有力な利益集団は、公共の利益の達成を目指すものでなく、特定の団体にのみ有効な利益を追求するエゴイズムの強いものと成っている。憲法でロビイング其の物は認められているが、そのようなな利益集団が直接的に政治に関与するというのは反民主主義ともとれ、議会制民主主義に基づく正当性が存在しない。更に、利益集団は選挙に基づいて選択されているわけでもなく、責任も負わないために一切の抑制機構が存在しない。このような過剰な利益追求主義的政治形態は利益集団の特権階級化と格差問題を引き起こす。
一般に、現在の日本における「民主主義選挙」とは最早、
利益集団に依る誘導でしかなく、利益集団によって作られた政策を利益集団の評価と利益集団の意向によった情報によって判断し、利益集団によって運営される
という形態をとっている。根本からして、民主主義的とは言いがたいのではないだろうか。現在格差社会化の顕著化したアメリカで様々な権益に対するデモが行われているが日本も対岸の火事とは言えない。問題が表出していないだけで、形態として純粋な資本主義的行政運営が行われていることに変わりはない。
現代日本では世代間格差などが問題と成っているが、それは直接的な選挙活動と言うよりもこのようななロビイングによって解決されるべき問題であり、個々別々の「民主主義的手法」は最早機能しないのではないだろうか。
そもそもにおいて、「一般的に考えられている」民主主義選挙は公共の利益に基づく行為と勘違いされているフシがあり、特定の団体に一方的に有利な行動、政策を支持するのは間違いと見られがちである。しかし、選挙は其々の意見のと利益の集約そのものであり、全体的な、理念的な達成よりも寧ろ自己利益の極端な追求を行うべきものとして現状機能している。特定の理想を掲げているかぎり、自己利益が「民主主義的に」達成されることはなさそうである。
以上アメリカのデモを受けての徒然でした。(因みに僕はこれら(以下)の意見に「賛成」するわけではありません。紹介です。)